3 / 13 [金] 公開
26歳で難治性不妊症と診断された気象キャスター・千種ゆり子が、「若いうちから自分の身体に関心を持ってほしい」という強い思いのもと企画した本作。監督は、"柔らかい社会派"として認知されづらい悩みを丁寧に描き続けてきた野本梢。
本作は千種の経験そのものではなく、生理不順や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)といった、より身近なテーマに再構築された。その中で焦点を当てるのは、「不妊治療=40歳前後の夫婦」という一般的なイメージにおける若年層の現実である。20代の未婚女性が突然の診断に直面し、身体の悩みを誰にも相談できないまま、周囲との関係に悩み、自分を見つめ直していく姿を描く。
突然の診断に、当たり前だったはずの未来が揺らぎ、
自分でもよくわからないまま、友人や恋人との間に少しずつ溝ができていく。
25歳の深山はるか(道田里羽)は、仕事やボランティアに奔走しながら、恋人との結婚を夢見てアクティブに日々を過ごしていた。ある日、同窓会で再会した友人から不妊治療中であることを打ち明けられ、ショックを受けたはるかは、勧められるまま婦人科を受診し「女性なのに男性ホルモンが多い」と診断されるも、忙しさの中で対症療法的に片付けてしまう。しかし、不調を抱えながら迎えた大切な日、大量の出血に見舞われる。昔から持ち前の行動力で他者のために奔走してきたはるかだったが、自身の悩みは誰にも共有することができない……。そんな折、はるかは薬局で万引きを疑われている中学⽣・優佳⾥(滝澤エリカ)と出会う。彼氏に依存し、家族や友人と距離を置く優佳里。はるかは、そんな優佳里や周囲の人々を通して、今までの自分を見つめ返しながら、未婚のままひとり静かに疾患と向き合っていく。