上映作品

マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザインMaija Isola Master of Colour and Form

「マリメッコ」の伝説的デザイナー、マイヤ・イソラ

日本でも人気の北欧を代表するデザインブランド「マリメッコ」。ケシの花をモチーフとした「Unikko(ウニッコ)」など、2021年に70周年を迎えたマリメッコを代表するデザインの多くはマイヤ・イソラが手掛けたものである。マリメッコの成長と共にデザイナーとしての才能を開花させ、創業前の1949年から87年までの38年間に500以上という驚異的な数のデザインをマリメッコに提供。そのタイムレスな魅力にあふれた大胆でカラフルなデザインは、半世紀以上経った今でも私たちの暮らしを彩りつづけている。
1人のデザイナーが手掛けたものとは思えないほど多彩なデザインを次々と生み出したマイヤ・イソラの創作の源とはなにか。創業者アルミ・ラティアとの唯一無二のパートナーシップによってマリメッコの成功を支えた、類稀なデザイナーの足跡をたどりながら、創作の秘密に迫っていく。

激動の時代、旅をしながら自由な創作を続けた、恋多き人生
戦時下を生き抜き、19歳で娘クリスティーナを出産後に芸術大学へ進学したマイヤは、在学中にマリメッコ創業者であるアルミに認められ、デザイナーとしての道を歩むこととなる。そして、旅することを原動力としたマイヤは、社会が移り変わる激動の時代に世界中を旅し、そこで出会った人々や見聞き経験したすべてをエネルギーに変えて絵を描き、新たなデザインを生み出していく独自のスタイルを作っていった。それは、何にも縛られない自由なスピリットと、常に貪欲に挑戦し続ける創作への情熱を生涯持ち続けた人生だった。また、恋多き女性でもあったマイヤは三度の結婚・離婚を繰り返し、恋愛をも創作の糧としていた。

旅先からの手紙、日記、娘の証言で綴られ、彩り鮮やかなデザインが踊り出す
本作は、離れて暮らす愛する娘や家族に送った手紙と本人の日記、娘の証言、当時の様子を映すアーカイブ写真や映像が「自分語り」で綴られ、「マイヤ・イソラのファブリックは自分の人生の一部」と語る新鋭監督がアニメーション等を駆使して挑んだ意欲作。いつ、どこで、どんな想いからデザインを生み出していったのか、臨場感たっぷりに生き生きと彩り鮮やかに映し出されるデザインや絵画は、観る者の心を躍らせる。旅を愛し、世界のすべてをかたちにしてきたマイヤ・イソラというしなやかで逞しいデザイナーの人生を体感することで、今の時代を生き抜く力を貰える傑作アート・ドキュメンタリーである。

監督・脚本・撮影
:レーナ・キルペライネン
音響
:ピエタリ・コスキネン
編集
:リーッタ・ポイクセルカ
アニメーション
:レーッタ・ネイッターンマキ、アンニカ・ダールステーン
音楽
:サンナ・サルメンカッリオ
製作
:メルヤ・リトラ
共同製作
:エリナ・ケウィッツ